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アクティビストが株主になった386社を5年追跡 会社と株価はどうなったのか?
beluuga.aiのアクティビスト・ウォッチでは、大量保有報告書や変更報告書、有価証券報告書等を独自AIエージェントが収集し、どのファンドがどの企業をどれだけ保有しているかを継続的に捕捉・分析・公開しています。前回は「御社はアクティビストを心配すべきか?」と題し、狙われた会社の共通条件を26指標で検証しました。今回はその続きで、実際に狙われたら具体的にどうなるのかを5年分の届出から追跡します。
狙われたらどうなるのか?
結論
ひとことで言うと上場を続けた会社はほとんど変わらない、というやや身も蓋もない結論になりました。上場を続けなかった17社(287社の5.9%)に何が起きたかは、第3話で扱います。
01
468ペアのうち219件(47%)が撤退しています。ただし参入したポジションの半分が撤退するまでには約2年8か月かかり、1年後の時点では8割がまだ5%超を保有しています。誰に売って出ていくのか、上場廃止になった会社に何が起きたのかは、第3話で扱います。
大量保有報告制度は保有割合が5%以下になると提出義務が消滅するため、その先は観測できません。0%まで抜けたのか4%台で持ち続けているのかは分かりません。そこで「5%未満へ低下」と「0%まで確認できた完全売却」を分けて数えています。
| 状態 | ペア |
|---|---|
| 現在も5%超を保有している | 249件 |
| 5%未満へ低下した(以後は観測できない) | 159件 |
| 0%まで確認できた完全売却 | 60件 |
参入日を観測できた322ペアについて、まだ保有している195ペアを収録終端で右側打ち切りとして扱い、Kaplan-Meier法で推定しました。ただし上場廃止になった企業の4ペアは、収録終端ではなく最終届出日で打ち切っています。
| 参入からの経過 | まだ保有している割合 | 95%信頼区間 | この時点で観測が続いているペア |
|---|---|---|---|
| 6か月後 | 90.2% | 86.2〜93% | 252件 |
| 1年後 | 82% | 76.9〜86% | 191件 |
| 1年半後 | 72.1% | 66.1〜77.2% | 146件 |
| 2年後 | 62.1% | 55.5〜68.1% | 112件 |
| 3年後 | 45% | 37.2〜52.5% | 43件 |
| 4年後 | 25.9% | 16.9〜35.9% | 12件 |
結果、1年後でも8割のアクティビストが残っていることが判明しました。半分以上のファンドが去るのは985日(約2年8か月)です。「アクティビストが入ってきたら通常3年程度は付き合う必要がある」という時間感覚と整合的です。
要求に応じたと機械的に判定できる55件と、「応じなかった」または「応じた証拠を確認できなかった」残りの219件について調査したところ、両者の撤退率はともに42%(両側p=1.00)でした。
撤退までの時間についても両者には差がありませんでした。Kaplan-Meier法で2本の曲線に分けてlog-rank検定にかけると両側p=0.71、半分が撤退するまでの日数は1,009日 対 1,065日です。対応を確認できた案件も確認できなかった案件も約6割が保有を続けられ、約8割で保有比率を引き上げられていました。
これにより確実に言えるのは「要求に応じればアクティビストが早く去る」という相関関係は確認できなかったということです。どの会社がアクティビストに応じるかは当然ながらランダムな現象ではなく、要求の強さ・会社の状況・相手のファンドの性質で決まることはご理解の通りです。この点、応じた55件と残りの219件はそもそも別の性質を持った集団であるため、この比較だけで因果を読むことはできないことをご理解ください。
要求に応じたことを確認できた案件でもアクティビストが早く去るわけではなく、それどころか8割前後が逆に保有比率を引き上げ、要求に応じたとしても登場したアクティビストの半分が撤退するまでには1,009日(約2年9か月)かかることが判明しています。
02
公表直後の5営業日でTOPIX比+3.1%、4社に3社がプラスになります。しかしこの上昇は定着しません。60営業日で+2.6%、120営業日で+3.4%と横ばいが続き、250営業日(約1年)で−0.3%——ほぼ公表日の水準に戻ります。
大量保有報告書提出の閾値である5%を市場から買い集めるには、一般的な上場企業の場合、 1日の出来高の25%を毎日買い続けても中央値60営業日(約3か月)かかります。その間、株価はじりじりと値上がりし、公表前の20営業日だけで TOPIX比+3.2%上がっているため、大量保有報告書が提出された時点で、上昇の一段目は終わっています。
参入日を観測できた企業について、参入前120営業日の1日あたり出来高の中央値から、発行済株式の5%を取得するのに必要な営業日数を試算しました。板を薄くしないよう 1日の出来高の何割まで買うかを3通り置いています。
| 前提 | 必要な営業日数(中央値) | 四分位 |
|---|---|---|
| 1日の出来高の100%を買う | 15営業日 | 10〜23営業日 |
| 1日の出来高の25%を買う | 60営業日 | 39〜92営業日 |
| 1日の出来高の10%を買う | 149営業日 | 98〜229営業日 |
注目すべきは、この日数が企業規模でほとんど変わらないことです。出来高の25%を買う前提で、1,000億円未満が64営業日、3,000億円以上が53営業日。大きい会社は閾値に至る金額の絶対額が大きくなりますが、出来高も比例して大きいため取得に必要な日数は大きく差が出ません。
| 時価総額 | 社数 | 必要な営業日数(中央値) |
|---|---|---|
| 1,000億円未満 | 128社 | 64営業日 |
| 1,000〜3,000億円 | 64社 | 60営業日 |
| 3,000億円以上 | 74社 | 53営業日 |
買い集める3か月間、株価は継続的に上昇します。公表120営業日前から公表日までは TOPIX比で+1.9%、直近20営業日では+3.2%。公表が近づくほど傾きが強くなります。買い集めそのものが株価を押し上げていると読むのが自然ですが、値上がりを見た他の投資家の追随も混じるため明確な切り分けはできず、さらなる検証が必要です。
ただ経営側から見ると、大量保有報告書が提出された時点で既に過去3か月分の買い集めが終わっていることになるため、「特段の材料なく3か月、TOPIXを上回る値上がりが続く」のは危険なサインである可能性があります。
初回の大量保有報告書提出日(EDINETに掲出され市場が知る日。義務発生日ではありません)を起点にした、 TOPIX対比の累積超過リターンです。
| 期間 | 社数 | 中央値 | プラスの割合 |
|---|---|---|---|
| 公表120営業日前 → 公表日 | 262社 | +1.9% | 56% |
| 公表60営業日前 → 公表日 | 266社 | +3.3% | 61% |
| 公表20営業日前 → 公表日 | 267社 | +3.2% | 65% |
| 公表5営業日前 → 公表日 | 268社 | +1.7% | 70% |
| 期間 | 社数 | 中央値 | プラスの割合 |
|---|---|---|---|
| 公表日 → 5営業日後 | 269社 | +3.1% | 77% |
| 公表日 → 20営業日後 | 266社 | +2.7% | 63% |
| 公表日 → 60営業日後 | 251社 | +2.6% | 58% |
| 公表日 → 120営業日後 | 224社 | +3.4% | 56% |
| 公表日 → 250営業日後 | 186社 | -0.3% | 49% |
250営業日まで追えるのは186社です。
「アナウンス効果」が実際に数字として出ています。ただしそれは1年で消える一時的なものであり、公表から1年後の中央値は−0.3%、プラスの企業とマイナスの企業がほぼ半々です。なお、これらは上場廃止になった17社を除いた269社の数字です。
上場廃止になった17社に何が起きたのか(誰に買われ、どう消えたのか)は、次回の第3話で扱います。
03
アクティビスト登場後に増配した企業は73%、1株配当の変化率は中央値+33.3%であり、数字だけを見ると大きく増配に傾いているようですが、実は時価総額でマッチした対照群も75%が増配しており(増配率+28.6%)、統計的有意差は認められません(両側p=0.74)。自己株買いも同じで、参入前後で増えたとは言えず(p=0.28)、対照群と比べても増え方に差はありません(群間の検定で両側p=0.37〜0.84)。
保有目的欄で増配または自己株式取得——いわゆる「現金を返せ」という要求——を掲げているのは100ペア(21%)/ 99社で、うち73ペアは両方を掲げています。
対照群は時価総額で1対1マッチしています(近い順に貪欲マッチ、2倍以上離れる相手は認めない、269組)。アクティビストに一度でも保有された386社は全て対照群から除外し、対照群にはマッチ相手の参入日をそのまま疑似参入日として与えて、まったく同じ窓・同じ集計を適用しています。
| 社数 | 増配した割合 | 変化率の中央値 | |
|---|---|---|---|
| アクティビストに保有された企業 | 180社 | 73% | +33.3% |
| 対照群 | 172社 | 75% | +28.6% |
差の検定(Mann-Whitney、両側)はp=0.7471。対照群を置かない場合「参入後に73%が増配、増配率+33.3%」と読み取ってしまう可能性がありますが、それは同じ規模の企業でも同じだけ起きている増配を、アクティビストの成果として読むことになるためミスリーディングです。
ただしp=0.74は「差がない」ことの証明ではなく「対照群を上回る増加があるという証拠は得られなかった」という意味です。両者が等しいと主張するには同等性検定が別に必要で、本稿ではそれを実施していないことにご留意ください。
自己株買いについては、「発行済株式数がほぼ不変のまま自己株式残高が増えた四半期」をもって「取得があった」ものと判定してカウントしています。決算データからの推定であり、キャッシュフロー計算書の「自己株式の取得による支出」や適時開示の取得実績ではないことにご留意ください。アクティビストに保有された企業が参入後71%・参入前の同じ窓で67% (McNemar検定、両側p=0.28)。対照群は参入後63%・前55%(p=0.025)となっています。
ただし、この2つはそれぞれの群の中での前後比較であり、並べても「群間に差がある/ない」の判定にはなりません。片方が有意で片方が非有意、というだけでは両群を比べたことにならないためです。そこで群間そのものを3通りで検定しました。前後で変化した企業の内訳(保有企業は始めた39社 対 止めた29社、対照群は38社 対 20社)のFisher正確検定が両側p=0.37、企業ごとの変化を+1/0/−1で採点して分布を比べるMann-Whitney検定がp=0.59、マッチした1対1のペアの中で比べる符号検定がp=0.84。いずれも有意差はなく、増え方の点推定はむしろ対照群の方が大きい(+4.4pt 対 +8.0pt)という結果でした。
なお、差分の差分(DiD)回帰は用いていません。05のとおり参入前の2期の時点で既に両群に差がついているため(p=0.039)、水準の平行トレンドを前提とする推定は置けないからです。上の3本はいずれもその前提を使わず、変化のパターンそのものを比べています。
この測り方にはカウント漏れの可能性があることにもご留意ください。同四半期中に自己株式を取得してかつ消却まで実施すると自己株式の残高が元に戻るため、差分が計算できません。 71%・67%という水準は下振れしている可能性があります。ただし同じ測り方を対照群にも当てているため、この取り逃しで両群の比較の向きが反転することはありません。
結果、「アクティビストが入ったから株主還元が増えた」という関係は、今回の分析では確認できませんでした。
04
参入前後の有価証券報告書で役員名簿を突合した237社において取締役の人数は中央値9.0人から9.0人で変わっていません。ただこれは人数の話であるため、取締役会の構成が変わったかどうかを調べたところ、アクティビスト側提案の取締役が選任されたのは237社中6社、わずか2.5%に過ぎませんでした。 一方で長期化している案件ほど、要求は取締役本人に向かいます(取締役への言及28%→40%、解任13%→23%)。
大量保有報告書の「保有目的」欄から具体的な要求内容が読み取れるのは、468ペア中176件(38%)で、残りは「純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと」という定型文に留まります。書かれている場合、最も多いのは取締役・ガバナンス(128ペア)です。
集計単位はペア(ファンド×企業)です。同じファンドは同じ定型文を使い回すため、書類を単位に数えるとファンドのテンプレートを数えることになります。 1ペアが複数の要求を掲げる場合は重複して数えています。
| 要求内容 | ペア | 割合 | 社数 |
|---|---|---|---|
| 取締役・ガバナンス | 127 | 27% | 111社 |
| 資本政策の変更(総称) | 112 | 24% | 108社 |
| 増配・株主還元 | 90 | 19% | 89社 |
| 自己株式の取得・消却 | 83 | 18% | 82社 |
| 事業・資産の売却 | 82 | 18% | 80社 |
| 非公開化・MBO・スピンオフ | 47 | 10% | 34社 |
| 事業の譲受け・業界再編 | 26 | 6% | 25社 |
| 株主提案の提出 | 20 | 4% | 18社 |
もちろん大量保有報告書は法定書類であり、保有目的欄も法定の記載事項であるため、実際には水面下で取締役や取締役会と踏み込んだ対話がされており、こちらの記載事項と内容が完全に同じではない可能性は高いと考えられます。
分類にあたっては、話題語の出現だけで拾わないようにしており、たとえば「コーポレートガバナンス・コードの遵守状況、取締役会等ガバナンス体制の状況を考慮し、株式の追加取得を行う」という記載については、買い増し判断の考慮要素であって要求ではないと本書では整理しています。「発行者の取締役会、取締役、経営陣との建設的な対話を行う」も、対話の相手として取締役が出てくるだけのため、話題語と要求動詞の共起を必須にし、考慮・対話・議決権行使の文脈を明示的に除外しています。
参入日の前に提出された有価証券報告書と、後に提出されたものの役員一覧を突合しました。参入から後側の提出までは中央値700日(約2年=役員改選2回分)で、定時株主総会を1回はまたいだ企業は181社です。
| 項目 | 参入前 | 参入後 |
|---|---|---|
| 取締役の人数(中央値) | 9.0人 | 9.0人 |
| 年齢の中央値 | 62.0歳 | 63.0歳 |
取締役会の人数が増加したのが60社、不変が112社、減少が70社。増減はほぼ相殺され、全体としての水準は動いていません。年齢が1.0歳上がっているのは、約2年の時間経過そのものと考えられます。
アクティビスト側から取締役が入ったのは6社。定時株主総会を1回は跨いだ181社に絞っても5社(2.8%)です。
ただし本分析では社外取締役の比率は計測していません。また、新任・退任の人数も計測していません。中央値は新任2人・退任2人ですが、比較している2本の有価証券報告書の間隔が中央値700日=役員改選2回分あるため、通常の改選と区別できない為です。取締役については対照群を置いていないため、「アクティビストのせいで入れ替わった」とは言えず、本セクションで主張できるのは「取締役会の規模が変わらないこと」と「アクティビスト側推薦取締役選任の頻度」だけです。
代わりに、時間軸で見ると傾向が出ます。収録期間の開始前から保有が続いている 146ペア(=長くもめている案件)と、期間内に新たに参入した322ペアで、保有目的欄の記載を比べました。
| 記載 | 新しい保有(322ペア) | 長く続く保有(146ペア) | 両側p |
|---|---|---|---|
| 取締役への言及 | 28% | 40% | 0.0073 |
| 解任 | 13% | 23% | 0.0091 |
| 株主提案 | 4% | 3% | 1.0000 |
| 臨時株主総会の招集 | 1% | 1% | 1.0000 |
| 非公開化 | 7% | 8% | 0.7061 |
取締役への言及と解任は、長く続いている案件で明確に多くなります。一方で株主提案・臨時株主総会の招集・非公開化には差がありません。対話の相手が経営陣から取締役会そのものへ移っていく、という段の上がり方です。
ただし因果の向きは分けられません。「時間が経つとエスカレートする」と「もめている案件だから長く残っている」はこの比較では区別できません。要求に応じてもらえた案件は早く終わるため、長期側に残らないという選択が入っています。
05
アクティビストに狙われた企業とそうでない対照群において、登場前後の通期決算を比較すると企業売上高成長率は+8.5%(対照群+16.4%)、営業利益率の変化は−0.26pt(対照群+0.78pt)となりました。いずれも両側p<0.0001で、狙われた企業は対照群より明確に低くなっています。ただし参入前の2期でも既に差がついているため(p=0.039)、「元々業績悪化局面でアクティビストが登場したのか」「株主になったから業績が悪化したのか」は統計的に判定できません。しかし少なくとも今回のデータでは、アクティビスト参入後に対照群を上回る業績改善は確認できませんでした。
| 指標 | 保有された企業 | 対照群 | 両側p |
|---|---|---|---|
| 売上高成長率 | +8.46%(209社) | +16.43%(214社) | <0.0001 |
| 営業利益率の変化 | −0.26pt(199社) | +0.78pt(206社) | <0.0001 |
| (参考)参入前2期の営業利益率の変化 | −0.02pt(227社) | +0.29pt(227社) | 0.0391 |
差そのものは明確で、これは意外な発見でした。しかし重要なのは最後の行で、登場以前の2期を比べても同じ向きの差が既に出ています(両側p=0.039)。つまり観測されている差には「アクティビストが入った後に落ちた」成分と「落ちている会社に入ってきた」成分が混ざっており、このデータだけでは切り分けられないことにご留意ください。
第1話では、ROEが8%未満の企業がアクティビストに保有されているオッズが1.84倍(規模・株主構成調整済み、両側p=0.0002)でした。低収益な会社が選ばれているという関係は既に示されており、本稿の業績の差はその続きとして読むのが妥当と考えます。
また、本稿は因果を示すものではなく、時価総額でマッチした対照群を置いていますが、無作為割付ではないことにもご留意ください。
因果関係を示すものではありません。時価総額でマッチした対照群を置いていますが、無作為割付ではありません。示しているのは統計的な関連と、実際に観測された出来事の記述です。
「撤退」は保有割合の5%未満への低下で判定しています。5%以下になると報告義務が消滅し、その先は観測できないためです。「5%未満へ低下」は「完全に売却した」ではなく、4%台で持ち続けている場合も含みます。
株価の集計は、上場を続けた企業に限られます。上場廃止になると株価系列が残らないため、参入日を観測できた287社のうち17社が株価の節に入っていません。その17社には買われて終わった案件が偏って含まれるため、公表直後の+3.1%も1年後の−0.3%も、その分だけ「残った企業の数字」です。
保有期間の単純な中央値は使えません。参入と撤退の両方が収録期間に収まったペアだけが分母になり、長く持ち続けているファンドが構造的に落ちるためです。本稿では右側打ち切りを含めたKaplan-Meier推定で置き換えています(437日ではなく985日)。さらに、上場廃止になった企業の4ペアは収録終端ではなく最終届出日で打ち切っています。上場が消えた時点で保有は終わっているためで、この補正をしないと中央値は1,009日と出ます。
「応じた/応じなかった」の比較から因果は読めません。どの会社が要求に応じるかはランダムに決まりません。応じた55件と、応じた証拠を確認できなかった219件は、そもそも別の性質を持った集団である可能性が高いためです。
TOB公表後の参入を除いた線引きには判断が含まれます。公開買付届出書の提出から120日以内に参入した22ペアは「狙われた」のではなくTOBに乗ったポジションとして母集団から外していますが、120日という窓はこの5年で観測された同種の参入の最大値から置いたもので、これより後に入ったTOB絡みのポジションが残っている可能性はあります。
群ごとの中央値は幅を持って読んでください。「応じた証拠を確認できた55件」と「確認できなかった219件」の中央値(1,009日 対 1,065日)は、打ち切りの多い群では生存率が50%をまたぐ地点がわずかなペアの出入りで離散的に動きます。「差がない」という判断はlog-rank検定(両側p=0.71)に拠るもので、中央値の差そのものに意味を読まないでください。
共同保有者側に回った届出は取りこぼします。書類一覧で絞り込める提出者名は代表提出者のものだけで、アクティビストが共同保有者として名を連ねた届出は約2%漏れます。
要求内容は届出に現れた範囲に限られます。保有目的欄は法定の記載事項で、予備的な記載を含む一方、水面下の対話に留まる要求は現れません。
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本記事が示しているのは統計的な関連および観測された事実の記述であり、因果関係ではありません。特定の企業やファンドの行動を評価するものでも、今後の展開を予測するものでもありません。本記事は特定の企業への投資を推奨するものではなく、投資判断の根拠となるものではありません。個別の投資判断は自己の責任において行ってください。