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全上場企業をKeでランキングしてみたら見えたこと|2026年8月版

公開日: 2026-08-05更新日: 2026-08-09執筆・算定: 竹内 真二

WACC(加重平均資本コスト)は、株主資本コストKeと、税効果を反映した負債コストKd×(1−法定実効税率)を、時価ベースの資本構成に応じて加重平均したものです。beluuga.aiは、この構成要素の一つであるKeを全対象企業について緻密に計算しており、企業ごとの画面でその内訳(Rf・β・ERP)まで確認できます。 このデータを使って、国内上場企業3,512社(銀行・証券・保険等の金融機関、REITを除く)をKeでランキングしてみました。結果は、上位と下位で10倍以上の開きが出ました。最も高い会社でKe=47.39%、最も低い会社でKe=4.38%です。

集計対象
国内上場3,512社(銀行・証券・保険等の金融機関、REITを除く)
株価・時価総額基準日
2026年8月5日
Keの算定基準日
2026年8月5日(Rf=2.80%、ERP=5.14%、法定実効税率=30.62%)
LTM対象期間
各社直近12ヶ月(決算期は各社ごとに異なる)

上位100社

Keランキング上位100社(Ke: 2026年8月5日時点/母集団: 2026年8月9日再集計)
順位コード企業名業種Ke
13856Abalance電気機器47.39%
29444トーシンホールディングス情報・通信業45.72%
37815東京ボード工業その他製品43.88%
45202日本板硝子ガラス・土石製品43.08%
57201日産自動車輸送用機器38.84%
69229サンウェルズサービス業37.86%
77887南海プライウッドその他製品37.51%
86615ユー・エム・シー・エレクトロニクス電気機器35.63%
97215ファルテック輸送用機器34.66%
109417スマートバリュー情報・通信業34.29%
116464ツバキ・ナカシマ機械32.89%
125707東邦亜鉛非鉄金属30.93%
132435シダーサービス業30.55%
147898ウッドワンその他製品27.52%
152138クルーズ情報・通信業27.37%
167256河西工業輸送用機器26.80%
176444サンデン機械26.42%
189812テーオーホールディングス卸売業26.08%
193111オーミケンシ繊維製品26.05%
204735京進サービス業26.01%
216694ズーム電気機器25.56%
226635大日光・エンジニアリング電気機器24.65%
239760進学会ホールディングスサービス業24.17%
246557AIAIグループサービス業24.10%
253238セントラル総合開発不動産業23.85%
266425ユニバーサルエンターテインメント機械23.29%
274920日本色材工業研究所化学23.09%
286771池上通信機電気機器22.28%
292373ケア21サービス業22.15%
306440JUKI機械21.95%
31189AD&Mカンパニーサービス業21.70%
326977日本抵抗器製作所電気機器21.58%
333524日東製網繊維製品21.30%
348143ラピーヌ繊維製品21.18%
356523PHCホールディングス電気機器20.85%
369446サカイホールディングス情報・通信業20.31%
373422J-MAX金属製品20.29%
385199不二ラテックスゴム製品19.95%
396408小倉クラッチ機械19.93%
409158シーユーシーサービス業19.85%
415994ファインシンター金属製品19.85%
426412平和機械19.84%
437362T.S.Iサービス業19.55%
442418ツカダ・グローバルホールディングサービス業19.31%
457061日本ホスピスホールディングスサービス業19.23%
467372デコルテ・ホールディングスサービス業19.21%
477236ティラド輸送用機器19.16%
485852アーレスティ非鉄金属18.98%
492984ヤマイチエステート不動産業18.78%
508944ランドビジネス不動産業18.73%
516428オーイズミ機械18.65%
526899ASTI電気機器18.51%
536837京写電気機器18.49%
546218エンシュウ機械18.45%
559115明海グループ海運業18.39%
567294ヨロズ輸送用機器18.25%
574100戸田工業化学18.23%
584539日本ケミファ医薬品18.05%
592993長栄不動産業18.01%
606962大真空電気機器18.00%
616217津田駒工業機械17.73%
627808シー・エス・ランバーその他製品17.67%
636904原田工業電気機器17.64%
647983ミロクその他製品17.64%
659603エイチ・アイ・エスサービス業17.44%
662687シー・ヴイ・エス・ベイエリアサービス業17.40%
675010日本精蝋石油・石炭製品17.35%
684902コニカミノルタ電気機器17.07%
693277サンセイランディック不動産業16.99%
707369メイホーホールディングスサービス業16.93%
716186一蔵サービス業16.83%
72168Aイタミアートその他製品16.79%
737822永大産業その他製品16.69%
746803ティアック電気機器16.68%
754935リベルタ化学16.61%
764331テイクアンドギヴ・ニーズサービス業16.58%
779761東海リースサービス業16.57%
786840AKIBAホールディングス電気機器16.47%
797886ヤマト モビリティ & Mfg.化学16.46%
806147ヤマザキ機械16.41%
815858STG非鉄金属16.39%
827271安永輸送用機器16.34%
832162nms ホールディングスサービス業16.34%
846634ネクスグループ電気機器16.31%
853758アエリア情報・通信業16.21%
866955FDK電気機器16.17%
879449GMOインターネットグループ情報・通信業16.09%
883440日創グループ金属製品16.08%
898254さいか屋小売業16.07%
902445タカミヤサービス業15.85%
917946光陽社その他製品15.81%
928897MIRARTHホールディングス不動産業15.80%
936664オプトエレクトロニクス電気機器15.75%
94477Aスタートラインサービス業15.73%
959432NTT情報・通信業15.72%
966059ウチヤマホールディングスサービス業15.67%
978086ニプロ精密機器15.67%
986753シャープ電気機器15.65%
996233KLASS機械15.56%
1006926岡谷電機産業電気機器15.56%

ここでは上位100社を掲載しています。101位以降を含む全3,512社のKeランキングは、無料デモにご登録いただくとログイン後の「ランキング」画面で全社を一覧・検索してご覧いただけます。個別のKe・WACC内訳(Rf・β・ERPの内訳など)は各企業のプロフィールページでご確認いただけます。

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高いKeには、相応のリスク要因があります

上位に並んだ会社を見て「財務面のリスクが高い会社では」と直感的に思うかもしれませんが、あながち的外れではありません。ただし、CAPMが株主の要求リターンに織り込むのは、株価の総ボラティリティや企業固有のリスクではなく、分散投資でも取り除けない「市場連動リスク(システマティック・リスク)」です。CAPMはKe=Rf+β×ERPという式で表され、βは、その企業の株式リターンが市場全体の変動にどの程度反応するかを示す感応度です。Keが高い企業では、このβが高く推計されています。 高Keの背景には、財務レバレッジ、景気循環性、事業リスク、営業レバレッジ、推計βの不安定さなど複数の要因があります。業種平均のβを個社のD/E(有利子負債÷株式時価総額)でリレバーする計算式(βL=βU×(1+(1−法定実効税率)×D/E))を使っている以上、D/Eが高いほどKeが上がる関係は計算式に組み込まれています。今回上位に並んだ企業では、高いD/Eが、計算上Keを押し上げる主要因になっています。1位のAbalanceはD/E=7.1倍、5位の日産自動車はD/E=7.1倍、4位の日本板硝子はD/E=12.4倍です。 株主は債権者より弁済順位が低い残余請求権者です。業績やキャッシュフローが悪化したときも、元利払いは株主への分配に優先されます。そのため負債が多いほど、株主に帰属する利益やキャッシュフローの変動は増幅されます。ただしこれはあくまで市場連動リスクの一因であり、Keの高さが直接、その会社の債務不履行リスクや資金繰りの危険度を測っているわけではありません。

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beluuga.aiでは、企業ごとのKe・WACC・財務推移、Comps、株価動向を一画面で確認できます。無料デモで実際の分析画面をお試しください。

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この数字は、ある一時点のスナップショットです

D/E(有利子負債÷株式時価総額)の分母は、その日の株価そのものです。他の計算条件(有利子負債額・アンレバードβ・法定実効税率・Rf・ERP・発行済株式数)が変わらないと仮定すると、株価の下落だけでもD/Eは機械的に上昇し、リレバードβを通じて推計Keが上昇します。ランキング1位だったAbalanceについて、2026年8月9日時点のKe=約46.2%を起点に試算すると、他の条件が一定の場合、株価が10%下落すればKeは約50.2%、20%下落すれば約55.2%となります。逆に、株価が20%上昇すれば約40.2%となります。 ただし、これは瞬間的な値動きだけの話ではありません。その価格水準が一定期間続いている場合、市場が企業の財務状況や業績見通しを継続的に評価した結果である可能性があります。ただし市場価格には、負債や業績以外にも成長期待、金利、需給、流動性、ニュースなど多様な要因も反映されます。 なお、この「株価に応じて機械的に動く」という性質は、今回上位に来ている会社群(実測データの信頼度が低く、業種平均から個社のD/Eで再計算している会社)に特に強く当てはまります。大多数の会社では、一定期間の株価収益率から推計した実測βを使用しているため、今日の株価水準がD/Eを通じてKeに直接反映されるわけではありません。ただし、推計期間の更新に伴い、最新の株価変動がβへ徐々に反映されることはあります。

データの前提

  • 集計対象: 国内上場3,512社(銀行・証券・保険等の金融機関、REITを除く)
  • 株価・時価総額基準日: 2026年8月5日
  • Keの算定基準日: 2026年8月5日(Rf=2.80%、ERP=5.14%、法定実効税率=30.62%)
  • LTM対象期間: 各社直近12ヶ月(決算期は各社ごとに異なる)
  • 出典・算定: beluuga.ai

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執筆・算定: 竹内 真二

ベルーガエーアイ株式会社 創業者・代表取締役。1998年よりM&A業務に従事。リーマン・ブラザーズ、モルガン・スタンレー(東京及びニューヨーク)、自身創業のPEファンド等での実務経験をもとにbeluuga.aiを開発。

データ基準日: 2026年8月5日(株価・時価総額・Ke算定)。感度分析の試算のみ2026年8月9日時点の再計算値です。算定方法は上記「データの前提」のとおりです。出典: beluuga.ai。
更新履歴: 2026年8月公開。
本記事は特定の企業への投資を推奨するものではなく、投資判断の根拠となるものではありません。個別の投資判断は自己の責任において行ってください。

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